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れぽーと

2016年8月16日

キュレーターレポート no.5-2

金崎さんの作品は空間性、時間性、物語性を内包した作品だと言えます。紙が積みあがることで高密度な塊として物質化すること。半年という時間の厚みが、そのまま不思議なテクスチャーの積層となって視覚化していること。この作品自体がアーカイブとして、その内部に使用された紙の文字や画像情報を蓄積しているということ。そして、金崎さんの本作品にとって重要なことは、制作そのものがコンセプチュアルな目論見から出発しているのではなく、紙をボンドで貼り重ねる、という日常的で単純な行為の反復が作品を生み出しているということです。

 

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金崎さんの作品制作には、その方向性の判断や仕上げの作業などに施設の指導員の手が加わっています。アール・ブリュットの世界では、作品に作者以外の人間の手が入ることによって作者と作品の関係における純粋性が損なわれるという解釈があります。実際、行き過ぎた指導と補助が作者の本来的な表現の可能性を奪ってしまうことはよくあります。しかし、金崎さんの制作の場合は必ずしもそうとは言えません。その作品は、「表出」と「表現」という言葉を用いて言えば、金崎さんの唐突に紙を貼り重ねはじめた「表出」を美術作品としてクオリティの高い作品として「表現」に昇華させた作者と支援員の「幸福な関係」であると言えるでしょう。

 

東海地区では初の展示となる金崎将司さんの作品。

わくわくどきどき。

是非お楽しみに!!

 

(I.T)